ブンブク茶の間

SFと恋愛が大好物。恋愛はSFだ。

3回目のデート

完全に、脈しかない恋。

希望を左手に、確信を右手に握りしめて、ぼくは渦中の大政絢似との
3回目のデートに向かった。

 

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※1回目のデートはこちら
※2回目にいくまでの話はこちら
※2回目のデートはこちら


某金曜日。ぼくは人類では考えられないくらいのスピードで、仕事を片付けた。
いや、もう仕事なんて無かったのかもしれない。
仕事とは人生であり、ぼくにとってその瞬間、人生とは、
「その子と一緒に映画を観ること」だったのだから。

前回の約束通り、「君の名は。」を見る予定だ。

アイロンをしたてのパリッとした白いシャツ。
持っているジャケットの中で一番清潔感のある、紺のウールジャケット。
キレイなセンタークリースの入ったスラックス。

オシャレ(であろう)ジャケパンスタイルで
デートに臨んだ。

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※画像はイメージです。

いや、もうイメージというか、気分はまさにこんな感じだ。
というか、これはもうぼくだ。

さらに全然余談だけれど、
新卒1,2年目とかでこういう格好している代理店の若者いるけど
(おまけにパーマをかけていたりする)

マジで仕事できないから気をつけた方がいい。


金曜日の賑わった都内の繁華街。
空気にのまれないよう、レッドブルを一本購入し、2秒で飲み干した。
カラになったアルミ缶を、ぼくはぎゅっと握りしめ、

 

君の名は。観るぞ。(2回目の鑑賞)」

 

 

気合が入っている。
缶を握りしめた拍子に、残っていた中身がジャケットに飛んだ。
気合がから回っている。

 



成人男性のそのほとんどが、乗り越えなければいけない壁(たいてい仕事)に
ぶちあたった時、幾度となくレッドブルを飲んできただろう。

ぼくにとって、乗り越えなければいけないものが
そこにあったのだ。

待ち合わせ時間より、15分早く着いた。
彼女を待っている間、昨日(デート前日)のやりとりを思い出していた。

映画はもちろんだが、映画を観たあとが大切だということで
僕は映画を観終わったあとのお店も予約していて、それを伝えるときの会話だ。

 

昨日のLINE---------------------------------------------
ぼく「明日大丈夫ですか?お店予約しておきました。楽しみにしていてください。」

 

大政「楽しみです。どんなお店ですか?」

 

ぼく「美味しいお肉が食べられるお店です。」

 

大政「どんな感じのお店ですか?」

 

ぼく「それは内緒です。」

 

大政「すいません、お店の雰囲気に合わせて着る洋服を合わせたくて、
   教えてください。。」

LINEここまで--------------------------------------------

 

……。

 

…どんな洋服を着るか考えたい…だと。
なんか、素敵過ぎるだろ。

いや、ごめんなさい。
もしかしたら、女性の中では普通のことなのかもしれません。
お店に合わせて洋服を選ぶって、もしかしたら普通なのかもしれない。

でも、ぼくにとってはあまりにも新鮮だった。
なんか、すごくテンションが上がったのを覚えている。

そんな、思い出しテンションガン上がりをしていた時、彼女は現れた。

 

「こんばんは。」

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※画像はイメージです。完全にイメージです。
※出典:jol.me

 

 

惚れた。

首、かしげすぎだろ。


完全に画像はイメージなうえに、服装すら全然違ったが
とにかく綺麗だったのを覚えている。


そこから、「君の名は。」を観た。


映画通の彼女も、なかなか楽しめたらしく、かなり満足した様子だった。
※僕はずっと隣の彼女の一挙手一投足が気になって、2回目にも関わらず
 ほとんど映画の内容が頭に入ってこなかった。

無事に映画を観終わって、予約していたお店に向かった。

ダイニングバーの個室で、2人でビールを飲んだ。
君の名は。の感想を言い合いながら、楽しくお酒を飲んだ。
しばらくして2人でワインのボトルを頼もうということになった。

ワインは彼女が選んだ。

恐らく、過去に色んな男に指導されたのか、
ワインについて、彼女はかなり詳しかった。

オーダーもスマートで「ああ、この人かっこいいなぁ」と
彼女に対して、ただただ尊敬の念を抱いていた。会話や佇まいを含めて。

 

これ以上ないくらい笑ったと思う。
2人ともお酒を沢山飲んで、もうどうでもいいことでも大爆笑していた。
頼んだ料理のオーダーが入っておらず、料理が全然来ない。というトラブルすら
面白くなってしまって、訳が分からないくらい笑った。

僕は考えていた

 

これ、今日、言うだろ。

 

決めた。僕は今夜、言う。


ただ、せめて告白の確度を上げるために、
言う前に、手くらいつないでおきたい。と考えた。

お店を出て、エレベーターに乗った。
中は、都合よく僕ら2人きりで、適度に狭く、
火照った空気がすぐに充満した。

その階から、1階の出入り口まで、時間にして10秒くらいだっと思う。

 

ものすごく、ものすごく長く感じた10秒だった。

彼女の顔を見たら、沈黙に耐えかねて
かすかに笑っていた。


多分、これいける。
なんか、笑ってるし。

3回目のデートだしぼくの気持ちも伝わっているハズだ。
というか、気がつかないハズがない。

エレベーターを降りて、少し歩き、少しの会話を挟んだあと

 

彼女の手をとった。
手をつないだ。

 

 

 

いや、

 

正確には、

 

 

 

手をつなごうとした。

 

 

彼女の右手をにぎった瞬間、
いや、にぎってから1秒くらいの間を置き


彼女は、ぼくの左手を振りほどいた。

ちょうど、熱いものを触ってしまって
手を引っ込めるような、脊髄反射みたいな動きだった。
僕の左手は、彼女の脊髄にも拒否されていた。



「この恋は終わった。」そう悟った。
振りほどかれた瞬間、たぶん、白目むいてたし。

 

すると彼女が

「ごめんなさい!違うです!いや、分かるんです!分かるんです!」

 

全然分からなかった。

何が分かるのか分からなかった。

マジで言っている意味が分からなかった。

 

ぼくも謝罪した

「いや、ぼくの方こそごめんなさい!なんか、
 分かりませんが、ごめんなさい!いや、調子に乗りすぎました!
 楽し過ぎてつい!」

 

「いや、わたしが悪いんです!分かるんです。
 そうですよね。普通、そうですよね。。」

彼女はそれから謝ってばかりだった。

それを聴いて、ぼくも謝った。


結局、手をつなげない理由も明らかにしないまま、そのまま駅に到着し、
解散する運びとなった。

彼女は別れ際

「今日楽しかったです。ありがとうございました。」

…って、、

……って、、、

 

結局、最後はグダグダになり
告白もしないまま、3回目のデートは終わりを迎えた。

楽しい時間だったが、最期の手をつなぐという行為を、
あれほどまで拒む理由が、よく分からなかった。

 

本当に、女の人のことって、全然分からないんだな。と感じた夜であった。

3回目のデートは、こうして幕を閉じた。