ブンブク茶の間

SFと恋愛が大好物。恋愛はSFだ。

クリスマス・イブに会った女性の話(3)終

もはや、日にちが経ちすぎていて
自分が何を書いていたのか覚えていなかったけれど、
今読み返して、色々と思い出した。

そうだ。

年末、クリスマスにナンパした
持田香織似の、まゆみさんの話を書いていたのだった。

酔っ払った彼女の「K点超えのキス」の話を持ちかけられ、
僕は期待に胸を膨らませたのを覚えている。

 


と、今コレを書いている2017年3月20日13時25分。
キスという単語を打鍵した瞬間に、尋常ではない鼻血が出た。

免疫力が圧倒的に低下している。

 

さて、
前回まではこちらだ。

 

1回目
クリスマス・イブに会った女性の話 - ブンブク茶の間

2回目

クリスマス・イブに会った女性の話2 - ブンブク茶の間

 

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BARで知り合ったまゆみさんは、
かなり酔っ払っていて、ひたすらにキスの話をしていた。

正直、僕も酔っ払っていたので、
なんかもう訳が分からない感じにはなっていたが、

とにかく2人は、会話の内容自体はキスだのなんだのと
もう20代後半の男女にしては、あまりに落ち着きのない会話で
お互いによく笑っていた。

しばらくして、彼女が
「ねぇ、もう1杯だけ飲みに行こうよ?私、この辺り詳しいから。」
と言った。

僕は、なんだか彼女が気になっていたので(この状況で気にならねぇ方がおかしい)
一緒に店を出た。

何時だったかはあまり覚えていないが、
お互いに物凄くいい感じのまま、夜道を歩いていた。

すると、

 

「ねぇ、カラオケいかない?」
彼女が提案してきた。

…カラオケ?
あんたそりゃあ、「個室」って隠語が入っている単語じゃねぇか。
しかも、さっきの会話の中で「歌」とか「音楽」とか、
カラオケを連想させる単語、1個も出てないんですけど。

 

ってか、ここまで御覧の方はうすうす気がついてるかもしれないけれど、
この状況でカラオケって、分かってんな?
と、心の中で思った。

 

女の子が男と飲んだあとに

「ねぇ、カラオケいかない?」とか

「ちょっと休んでいかない?」とか

もう、ド直球に

「ホテルいかない?」って言われてる時の心境って
こんな感じなんだ。

 

死ぬ直前って、時間が遅く感じるっていうけれど、
クリスマスを持て余す童貞臭ただよう僕にとってみれば

「ねぇ……カァ、ラァ、オォ、ケェ、いぃ、かぁ、なぁ、い?(エコー)」
と、スローなうえにエコーがかかったように聞こえ、
なんて回答しようか、一瞬で200通りの回答を考えるほどに神経が研ぎ澄まされていた。

その走馬灯のような酔っ払った脳みそで僕が出した答えは、

 

 

 

 

 

「もちろん。」

 

 

 

 

完全に間違えた。

 

下心むき出し過ぎる回答に、
自分で引いた。めっちゃ引いた。

 

脳細胞フル回転の余韻が残る僕の脳みそは続けてこう言った。

 

「もちろんって何だよ!?ってかまゆみさん、この辺詳しいんじゃないの?
 結局カラオケかよ(笑)」

 

この照れ隠しの「照れ」が最終的にどこにいったか分からない返しは
功を奏したようで、



「えー。だって、歌いたくなっちゃったし。」

 

よし。俺の下心に全然気がついていない。
もしくは、気がついていないフリをしている。

 

もう焦り過ぎて、ここから一人称が俺になった。

 

俺たちは結局、カラオケに行くことになった。

 

もうなんか、ぶっちゃけ受付をしている俺たちは
というか、酔っ払ったまゆみは、酔っ払って俺にいたずらを繰り返し
もう、誰がどう見てもカップルだった。

 

ファーストドリンクのみ、受付で頼んで

マイクと部屋番号の書いた伝票を受け取って、

さぁ、行くかとなった瞬間、彼女は店員に向かって

 

 

「あっ、マイクスタンドもください!」

 

と言った。

 

僕は今まで数えきれないくらいカラオケに行ったし、
女性と2人でも、男同士でストレス発散のために行ったこともあるが
さすがにマイクスタンドを頼んだことは無かった。

さらに、彼女は続けて
受付の横にある、コスプレの衣装のところに行き、
一つの衣装を手に取り、

 

「君、コレ着てよぉ!」

 

と、ナースのコスプレ衣装を高々と掲げ、
僕に着ろとせがんできた。

 

お前が着ろ。

 

まぁ、この流れは絶対自分で着たいんだろうなとも思って、
「分かったよ。それも持っていっていいから、早く行こ。」と促し

部屋に向かった。

しばらくして、マイクスタンドとドリンクが届き、まゆみは

 

「きたきたぁ!」と

デンモクですぐに曲を入れ

マイクスタンドで猛烈に歌を歌い始めた。

 

「いぃとぉーしさとぉー せーつなぁーさとー ここーろづよさとぉぉぉおお!!」

 

いきなりエンジン全開である。

 

前奏の間、彼女はとんでもないことをマイクで言い出した

 

「はやく!これ着てよ!はやく!!」

 

ナース服を僕に渡してきた。

 

「いや、着ないから!まゆみさん着ていいよ!」

 

 

「うそ!?冷めるなぁ!着ろよぉおお!」

 

 

パワハラだ。

 

 

俺は、彼女に言われるがまま

ナース服を着た。

 

ナース服を着て、タンバリンで

ステージに立つまゆみを盛り上げた。

盛り上げながら、俺はこんなことを思っていた

 

「なにやってんだ…俺。」

 

歌い終わった、持田香織似の篠原涼子「まゆみ」は、

満足そうにし、

 

「ハハ!君、ずっとそれ着ててね!」

目が笑っていない。

 

俺の番だ。

 

俺は、ナース服で
酔っ払った頭で、叫んでいた。

 

 

 

「リライトしてぇーーーーーーー!!!!!」

 

 

 

 

……。

 

 

店を出る頃、俺たちは疲れ果てて

寒空の下、すっかり酔いは冷めていた。

 

 

別れ際、連絡先だけ交換した。