ブンブク茶の間

SFと恋愛が大好物。恋愛はSFだ。

コンサル勤務の29歳(3)~2回目のデート~

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ふと、

「あの時こうしていれば」「違う選択をしていたら」

と思うことがある。

 

流行りの過ぎた"タラレバ話"だ。
今年、これらの言葉が「後悔」の代名詞として、
市民権を獲得したのは、記憶に新しい。

 

しかし、その後悔の上にしか
人間の"味"みたいなものは滲み出て来ないんじゃないかって思う。

たらの白子や、レバーみたいに尿酸値を押し上げる食べ物は得てして美味しいし、

そんな尿酸値の上がった、人間味の溢れる生き方の方が、ぼくは良いと思う。

 

 

吉岡里帆似編。最終回です。

 

***

 

「ごめんなさい。今月はもう予定がぎっしりで…」

 

彼女から、そんなLINEが返ってきた。

 

先日のデートで、手応えを得ていたぼくは、
すぐに2回目のデートに誘っていた。

前回のデート、ぼくは「申し分ない結果」と言ったが、
1つ後悔していることがあった。

それは、

 

2回目のデートの約束をしなかったこと。

 

これは、1度目デートの最終的なゴールにすべきだった。

1度目のデートのゴールは「楽しく終える」や「美味しいお酒を飲む」
そんな抽象的な目標ではなく

 

「2回目のデートの約束する」

 

これしかない。ということを、ぼくはすっかり失念していた。

 

案の定、あの日のテンションは鳴りを潜め、
「予定がぎっしり…」なんていう、完全に"脈なし"な返事がきた。

 

ぼくも、まぁそんなもんだろう…。と思いながら、
少しだけ連絡をするのを控えた。

 

 

数日後、
また郁恵さんを呑みに誘おうと思い立った。

 

今度は、ちょっと誘い方を変えて

 

「△駅にある、日本酒のお店行きませんか?

 日本酒好きって言ってましたよね?○日か×日、空いてたら行きましょ!」

 

しばらく経って、彼女から返事がきた

 

「えー!良いですね、日本酒!×日なら空いてます!行きましょう!たのしみー!」

 

前に誘って断られたことがウソのように、とても感触の良い返事だった。

 

相手を誘う時には、ちゃんと相手が「価値」と見いだせるものを提案しないと、
うまくいかないんだなと実感した。

この場合、彼女の価値とは「日本酒を飲める」という点だったのかもしれない。

 

***

 

当日、彼女は時間通りに来た。
前回は敬語混じりで話していたのが、店に向かっている間の会話では
敬語はほどかれ、少しずつ前回のテンションを取り戻していった。

 

丁度、お店が見えてきた頃、彼女はおもむろにこう言った

「あ!もしかして、●●ってお店ですか?」

 

不覚だった。

 

デートの前、お店が決まった時、
以前の大政絢似のパターンもあるので、相手が洋服に気を遣ったりすることを考え
何系のお店か(今回であれば日本酒)、どんな雰囲気のお店かは伝えていた。

お店の名前や場所までも公表するかは、これはもう人によると思うが、
今回は、お店の名前や場所までは公表していなかった。
これが、裏目に出た…。

 

「えっ!?まさか、来たことありますか!?俺初めてなんですよ。」

 

「ありますよー!何回か!」

 

 

 

 

 あんのかよ。

 

 

 

…何回かあんのかよ…。

 

ってか、俺も初めてって言ったけど、あるよ。

何回か来たこと。

女の子とばっかり来てるから、そろそろ店員に顔覚えられそうなくらい行ってるよ…。

 

彼女が「行ったことがある」という状況にサプライズ的な要素は影を潜めた。

しかし、彼女は言った。年上特有の余裕をかもし出しながら、

 

「でも、このお店選ぶなんて、センスいいですねぇ~!」

 

 

出た。デキるオンナの…

さ・し・す・せ・そ

 

さ「さすがぁ~!」

 

し「知らなかったぁ~!」

 

す「すごぉ~い!」

 

せ「センスいいですねぇ~!」

 

そ「そうなんだぁ~!」

 

www.youtube.com

※参考「カサネテク|無敵の合コンテクニック!?」

 

 

ぼくは、その言葉がテンプレートだと分かっていても、
アホなので、馬鹿なので、愚かなので、不覚にも

 

照れてしまった。

 

安い。なんて安い男だろうか。

 

 

そんな感じで、お店に入った。

 

日本酒のお店でも、仕事のこと、お酒の失敗、元彼のこと、など

色々な話に華を咲かせていた。

 

色んな種類の日本酒を注文し、

「あっ、これは美味しい」「これは強い」「この日本酒に合わせてこれが食べたい」

などの会話も広がり、日本酒のお店にしたのは大正解だった。

 

一通り呑み、お互いにほろ酔い状態だった。

 

また、彼女がトイレに行っている間に

お会計も済ませて、

今回は、ぼくが2軒目の打診をした。

 

「2軒目、行きたいバーがあるんですけど、行きませんか?」

 

「いいですねぇ!分かりました!行きましょ!

 バーってあんまり行く機会ないので、楽しみです!」

 

その日本酒のお店から、徒歩3分程度の所にあったバーに、
ぼくらは向かった。

開けてみると、そのバーは蝋燭の明かりだけで照らされており
目が慣れるまでは視界が真っ暗で、相手の顔も微妙に良く分からないという、
面白いバーだった。ってか変態的なバーだった。

バーだった。

 

とか、さも「入ってみたら驚き!」みたいな書き方してますが、
ぼくは知ってました。わりと変態的なバーであることは知っていました。

 

まぁ、ちょっとしたエンターテイメント性もあるので、
このバーを選んだんですけど、これが正解で、
彼女は喜んでいた。

 

ぼくはウイスキーのトワイスアップ、彼女は同じウイスキーのソーダ割りを
頼み、めっちゃいい感じだった。

10代の頃に夢見た、大人のカップルの酒の飲み方が実現できたような気がした。

 

彼女のテンションも高かった。

 

ただ、今日はなんだか、

終始、薄い壁一枚挟んでいるような、そんな感じだった。

 

ぼくがヘタレなせいもあり、
最終的に踏み切れず、その日もお互いにテンションが高いまま、
分かれた。

 

別れ際、ぼくは忘れなかった。

 

皆さん、2回目のデートのゴールは、何かわかりますか?

 

 

そう、

 

2回目のデートのゴールは。

3回目のデートの約束をすること。

 

ぼくは、別れ際に「次のデート、どこに行きますか?」と聞いた

そしたら彼女は「●●って行ってことある?行ってみたいんだよね~。」

 

と。

 

「じゃあ行きましょうか!いつにしますか?」

 

「ちょっと来週とか忙しくなっちゃうから、また確認して連絡するね!」

 

と、デートの約束まではすることができた。

日程が決められなかったのが心残りだが…。

 

 

その日も彼女と別れた後、30分後くらいにLINEが届いた

 

「今日もありがと!楽しかったよ!呑みすぎたからもう寝るねー!」

 

これを読んだ時、ぼくは一抹の不安を覚えた。

 

背中に何か気持ち悪い感触があるのを感じた。

 

数日後、

彼女に「この間行きたいって行ってた所、いつ行きますか?」

とLINEを送った。

 

彼女から、既読にはなるものの、返事がないまま2日が過ぎた。

 

ぼくは我慢できず、

「急なんですけど、今日空いてます?ちょっと呑めないかなって思って!」

と送った。

 

15分後、彼女から久しぶりの返信があった。

 

 

 

 

 

 

 

「ごめん!今日は無理!あと、彼氏できた!ごめん!」

 

 

 

 

こうして。

 

 

涙なくしては語れない、ぼくと吉岡里帆似の関係は、

幕を閉じた。

 

 

なんや、これ。

 

 

なんなんやこれぇぇぇええええええ!!!!!

 

 

 

あの時、終電で返さなければ

 

2回目のデートで、告白していたら

 

そんな、後悔が、僕をもっと味のある人間にするんじゃないか。

 

そう信じて、この恋愛に幕を閉じた。

 

この後悔、全て、自分の財産にしてやるからな。

 

 

もう、視界が…ゆがんで、キーボードが…叩け無い…。