ブンブク茶の間

「付き合う前」の、あの感覚が、最高に楽しい。

映画「ダンケルク」を観た感想。~巨匠クリストファー・ノーラン~

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出典:映画『ダンケルク』オフィシャルサイト

日常の中で、一体何回"非日常を味わえるか"で、その灰色である日常に少しずつ彩りを与えられるような気がします。

映画は、しかし"日常こそが非日常である"ということを感じる手助けをしてくれるものだと思います。

 

煮詰まった人生。

昨日と変わらない1日。

5年後、10年後の目標なんてない人生。

そんな平凡な人生も、ひとつの大きな物語なのだと感じさせてくれるのが、映画の魅力だとも思うので、ぼくは映画が好きです。

 

 

***

さて、今回は映画の感想です。
※以下ネタバレ含みます。

ダンケルク』観てきました。

 

Reference:www.youtube.com

インターステラー』『インセプション』など、先進的な表現力で、世界中の人を虜にする巨匠クリストファー・ノーラン監督の新作です。

 

映画の概要としては、第2次世界大戦中、ヒトラー率いるドイツ軍によって、フランスのダンケルクという港町に追い詰められたイギリス・フランス連合軍の兵士約40万人を救うという"史上最大の救出劇"です。

当時のイギリス首相ウィンストン・チャーチルが、イギリス軍とフランス軍に、このダンケルクに避難した(追い詰められた)兵士を救えというように命じました。

作戦は、イギリスとフランスを隔てるドーバー海峡を渡って、40万人の兵士を救うという、そんな背景から始まります。

ちなみに、このクリストファー・ノーラン監督も、イギリス人です。

 

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ダンケルクドーバー海峡

さて、映画を観た全体的な感想ですが、まずこの映画は圧倒的に「リアル」に作られているなと感じましたし、とにかく映像から伝わってくる「絶望感」が凄い。

人が死ぬということの惨状とか、そういう「戦争とは酷いものだ」ということが描かれているというよりも、ただただ事実としてありありと戦場の状況をとてもリアルに描かれています。

そのせいか、とにかく感情移入がすごい。劇中で流れる音楽が実際の緊張感を際立たせ、とにかく自分の感情が映画の中に入り込んでいきました。

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出典:映画.com

 

劇中、主人公含めて登場人物から言葉が発されることは、あまり多くありません。
そのため、彼らが何を考えているかどうかを彼らの「言葉」から感じ取るのは少し難しいようにも思えます。


しかし、この作品で随所に散りばめられる「ダンケルク・スピリット(イギリス国民が団結して逆境を克服しなければならないという時に使うフレーズ)wikipedia参照」は、彼らの行動を観ているだけで、感じることができます。

 

例えば、戦闘機に乗っていて燃料がもうほとんど無い状況。そんな状況で、自分の艦隊を攻撃しようとする相手の爆撃機を見つけてしまった時、どうするのか。

燃料メーターが壊れているため、その爆撃機を追いかけ、撃墜するまでの燃料があるかも分からない。そして実際に撃墜できるかも分からない。しかし、このままでは確実に艦隊は爆撃される。

それを追い、燃料がなくなったら、自分はどうなるか。

 

それだけでなく、劇中ではそういった「ダンケルク・スピリット」が多くのシーンで観ることができます。

生と死の境目が限りなく0に近い状況下で、彼らが何を選択するのか。

 

劇中に登場する人物は全て「自分の哲学」「自分の理念」「自分の正義」のために戦っているように思えます。「祖国に帰りたい」という目標を達成するためになら、なんでもする。しかし、味方を殺してまでそれをすることが正しいことなのだろうか。という葛藤。

全ての登場人物には、正義があります。
良い悪いの話ではなく、全て「自分との闘いをする」という正義です。

 

特に、戦争に向かった兵士だけでなく、戦争に行くことの無かった人間についても描かれています。

特別な人間は1人も出てきません。すべてぼくらとなんら変わらない平凡な人間が登場します。しかしその中に「何もできない人」は1人も出てこない。つまり、特別だから何かができる訳ではなく、そもそも「何もできない人」なんていない。という事を訴えているようにも感じました。

 

東京に住んでいると、ひどく感じるのは多くの「無関心」です。
満員電車という圧倒的な人口密度の中にいても、自分の心地よい場所を確保するために無意識に他人を背中で押しやったり、気分が悪そうな人がいても「自分の見えない所に行ってくれ」というような感情が沸き立ってしまったり、圧倒的な人口密度の中にある、その数と同じだけの無関心が、東京には溢れかえっています。

 

自分の日常生活に置き換えてみても、この「ダンケルク・スピリット」と言わないまでも、相手の事を考えたことが最近どれくらいあっただろうかと考えます。

感情移入して映画を観ているぼくが、都度都度感じていたのが「同じ状況になったら、自分はどうする?」といったものでした。

もちろん、戦争という究極の絶望感の中で選択を迫れることは、平凡な日常において限りなく0に近いです。ただ、東京の無関心の中で生きているからこそ、その精神を忘れないようにしておくことが、人を人たらしめるきっかけだったりもするし、「灰色な日常」を作り上げているのは、他ならぬ自分の「無関心」なのではないだろうかと、そんな事を感じた映画でした。

眼球にこびりついている、日常を灰色に見せるフィルターを、こういった映画を観て、1枚1枚取り除くことは大切なのかもしれません。

 

最後に、1つのエンターテイメントとして。

やはり映画館で観る映画は、格別です。そもそも、今の時代、携帯電話の電源を切って、何かに集中するシーンってあまり無いのではないでしょうか。

現代人の集中力は今、たったの「8秒」と言われています(参照:仕事はうかつに始めるな

 

どんなにテクノロジーが発達しても、映画館だけは無くなって欲しくないなと、そう感じました。

 

ちなみに、この映画を映画館で見る場合は可能であれば「IMAX」で観ることをオススメします。IMAXはサイズ感も音とかもすごいので、これ以上なくその世界に入り込める。

感動して泣きました。